前回までの8回にわたって『結婚をめぐる意識等』と『出産・子育てをめぐる意識等』について見てきました。
これらの調査によると、未婚者(18~34歳)の多くは「いずれ結婚するつもり」であり(結婚をめぐる意識等その1)、理想の子供の数は平均2人以上となっているものの(出産・子育てをめぐる意識等その1)、晩婚化が進むとともに、未婚率は上昇し(婚姻・出産の状況その2)、完結出生児数も近年2を下回っています(下図参照)。
図1:完結出生児数の推移
出典:少子化社会対策白書(内閣府)(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2019/r01webhonpen/html/b1_s1-1-3.html)
結婚や妊娠・出産に対する理想と現実のギャップは大きく、もっと結婚や妊娠・出産に対する『意識』について掘り下げて考えていくことで、必要な少子化対策が見えてくるのではないでしょうか。
今回からは、『結婚に関する意識』と『夫婦の働き方や家事・子育てに関する意識』について、さらに考えていきます。
まずは、結婚を希望している者で結婚していない20~40歳代の男女3,980人に聞いた「どのような状況になれば結婚すると思うか」をご覧ください。
図2:結婚に必要な状況
出典:少子化社会対策白書(内閣府)(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2019/r01webhonpen/html/b1_s1-1-6.html)
突出しているのは「経済的に余裕ができること」であり、これは今までの記事からも想定内の結果ではないでしょうか。
結婚を意識したときに考える結婚式や夫婦で暮らす新居への引っ越しなどには、まとまった費用がかかるイメージがあります。あるブライダル総合情報サイトでは、「いくらあったら結婚できる?」という記事で、結婚費用のための貯金額のアンケートを取っており、平均額が300万円以上でした。
また、結婚を意識している男女でしたら、結婚のタイミングだけでなく、その後の生活についても考えることとなり、子どもを持つことも考えると、継続的な経済的余裕が必要と感じるでしょう。
『理想の子ども数を持たないワケ~出産・子育てをめぐる意識等その2~』では、結婚後の夫婦の理想の子供数を持たない理由としても「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」が一番の理由となっています。
私も結婚前・出産前の頃はそうでしたが、職場や友人など、結婚・子育ての先輩となる方々からの「お金がかかる」という話をよく聞きました。結婚するときにかける費用も子育てにかける費用も、ある程度はどうするか自分たちで選べるものではありますが、費用が高くインパクトのある情報が目につきやすいのではないでしょうか。
今は、周りの声やテレビだけでなく、インターネットなどでも情報が目に入り、事前に色々と考えるきっかけにもなり、「今の自分には無理…」と経済面で躊躇する理由のひとつにもなっているかもしれません。
お金の面に関しては、今までの記事でも考察してきましたので、次回からは結婚に必要な状況の次点にもなっている「結婚相手」に着目して考えていきましょう。