前回は、年齢別の長時間労働の男性就業者の割合の推移データを見て、下降傾向にはあるものの、メインの子育て世代である20~40歳代の4割弱が週60時間以上、働いていることが分かりました。
今回は、そんな夫がどのように家事・育児に関わっているか、それが出産にどのような影響を与えているか、考えていきましょう。
下図は、夫の休日の家事・育児時間別にみた第2子以降の出生の状況です。
夫の休日の家事・育児時間なしの家庭は、第2子以降の出生が10%にしかならず、家事・育児時間が6時間以上の場合、第2子以降の出生が87.1%にもなります。
その間の時間も、家事・育児時間が多くなるにつれて、第2子以降の出生率が上昇しています。
図1:夫の休日の家事・育児時間別にみた第2子以降の出生の状況
出典:少子化社会対策白書(内閣府)(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2019/r01webhonpen/html/b1_s1-1-5.html)
家事・育児時間が6時間以上という数字を見ると、とても大きな数字に見えます。
ですが、1日24時間のうち、例えば、休日なのでゆっくり8時間寝たとして、三食とお風呂などが各1時間として4時間が経ち、そして、家事・育児時間を6時間取ったとしても、あと6時間が残ります。
さらに家族と2時間ほど外出したりしても、自分の時間として使える時間(それだけに限らないかもしれませんが)が4時間が残るわけですね。
このように考えると、できない数字ではない気がしてきますね。
さらに、家事・育児時間を他国と比較してみましょう。
下図は、6歳未満の子供を持つ夫婦の1日当たりの家事・育児関連時間の国際比較図です。
図2:6歳未満の子供を持つ夫婦の家事・育児関連時間(1日当たり・国際比較)
出典:少子化社会対策白書(内閣府)(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2019/r01webhonpen/html/b1_s1-1-5.html)
文化の違いや政策の違いによって、専業主婦家庭なのか、共働き家庭なのかといった背景の違いもあるでしょう。
ですが、日本の家事・育児関連時間は、他国と比べて妻へ大きく偏っています。
ただ、前回の記事でもご紹介した通り、メインの子育て世代である20~40歳代の男性の4割弱が週60時間以上、働いています。
週に5日間働くとしたら、1日12時間以上、働いているわけですが、そうすると、1日24時間のうち、12時間働き、6時間寝たとして、さらに三食・お風呂などが4時間だとすると、残りは2時間です。
前々回の記事で、男性の平均通勤時間は50~60分というデータがありました。すると、往復約2時間…。
このような男性が、平日に家事・育児を行うのは、なかなか難しいのではないでしょうか。
すると、たとえ、週休2日間をそれぞれ6時間家事・育児に使ったとしてでも、12時間。
それを7日間で割ると、約1.7時間となり、上図と大きく変わらない数字となります。
図3:男性就業者の長時間労働の割合(国際比較)
出典:少子化社会対策白書(内閣府)(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2019/r01webhonpen/html/b1_s1-1-5.html)
上図は、就業時間が週49時間以上の男性就業者の割合を国際比較した図ですが、他国と比較して高い割合となっています。
最近は働き方改革という言葉もあるように、長時間労働について改善されていくと夫側の家事・育児時間も変わってくるのではないでしょうか。
ただ、図3のとおり、日本に次いでアメリカも比較的長時間労働と見受けられます。
しかし、図2の6歳未満の子供を持つ夫婦の家事・育児関連時間では、夫側の家事・育児関連時間の多さで上位に上がります。
環境の整備も大切ですが、夫側の意識の持ち方も重要だと捉えられる結果ではないでしょうか。
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