子育て世代の男性の長時間労働の影響~出産・子育てをめぐる意識等その4~

前回は、出産前後の妻の就業状況から出産・子育てをめぐる意識を考えてみました。

今回は、子育て世代の男性の労働面から見ていきましょう。

図1:年齢別就業時間が週60時間以上の男性就業者の割合の推移
出典:少子化社会対策白書(内閣府)(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2019/r01webhonpen/html/b1_s1-1-5.html)

上図は、年齢別の就業時間が週60時間以上の男性就業者の割合の推移のデータです。

週60時間以上の長時間労働をしている男性は、どの年齢層においても、2005(平成17)年以降おおむね減少傾向です。

では、以前に比べると男性も育児に参加しやすくなってきたのでしょうか。

データをよく見ると、例えば20歳代の男性の8.7%、30歳代の男性の13.7%、40歳代の14.4%が週60時間以上、労働しています。

子育て世代でもある年代の男性の36.8%が、週に5日間働くとしたら、1日12時間以上、働いているわけです。

また、週60時間以上の長時間労働をしている男性が減少傾向とはいえ、下図を見ると、近年持ち直していますが、平均給与も以前より下がっています。

図2:年齢階層別の平均給与(男性)

出典:民間給与実態統計調査をもとに筆者が作成(国税庁)(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/toukei.htm)

さらに下記のデータをご覧ください。

上記より、25~44歳の子育て世代と考えられる男性の4割弱が週に60時間以上働き、それなのに収入は昔に比べて減少しました。

ですが、下図のように義務教育以降の教育費は、増加傾向にあります。

図3:国立・私立大学の教育費(授業料・入学料・検定料の合計)の推移

出典:国立大学と私立大学の授業料等の推移をもとに筆者が作成(文部科学省)(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/kokuritu/005/gijiroku/attach/1386502.htm)

労働時間が、以前に比べて減少傾向とはいえ、まだまだ負担に感じる時間数であり、それなのに収入には安心が持てず、教育費は上昇する一方となると、子どもを持つという意識が薄れるのもしかたのない状況ではないでしょうか。

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