自由時間が増えたら家事・育児の時間はどう変化する?~結婚や子育てに関する意識その10~

前回は、「家庭での家事・育児の役割は夫と妻どちらか」について、男性と女性のそれぞれの考えについてデータを見てきました。

男女ともに「妻も夫も同様に行う」を理想として、できることならそうするのがいいと考えていることがわかるデータでしたが、細かく見ていくと、現実的には「基本的には妻の役割であり、夫はそれを手伝う程度」となっているのでは…と見受けられるものでした。

役割についての意識はわかりましたが、では、実際に自身が費やしている家事・育児の時間については、どう感じているのでしょうか?

下図は、自らの家事・育児に費やす時間の評価を未婚・既婚、子どもの有無、男女別に集計したデータです。

図1:自らの家事・育児に費やす時間の評価

出典:少子化社会対策白書(内閣府)(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2019/r01webhonpen/html/b1_s1-1-6.html)

未婚の方のデータは、男女ともに大きな差異がなく、男女差の感覚に大きな違いはないと考えられるでしょう。

既婚子どもなしも、男女ともに「ちょうどよい」と考えている割合が6割強というのは同じです。

しかし、女性のデータを見ると、未婚時と比較して、「短い」と感じている割合が減り、「長い」と感じている割合が増えています。

結婚したことによって、独身時よりも家事が増えたと感じている女性が増えていると見られます。

さらに、既婚子どもありのデータを見ると、さらに女性は「短い」と感じている割合が減り、「長い」と感じている割合が増えています。

今度は男性のデータにも変化が出ており、「ちょうどよい」と感じている割合が減り、「短い」と感じている割合が増え、夫婦の中で育児の時間が増えたことがキーポイントであると考えられるでしょう。

では、時間があれば、このバランスは変化するのでしょうか?

下図は、自由時間が増えた場合の家事・育児時間の変化について、同様に調査したデータです。

図2:自由時間が増えた場合の家事・育児時間の変化

出典:少子化社会対策白書(内閣府)(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2019/r01webhonpen/html/b1_s1-1-6.html)

ここで注目したいのは、既婚子どもありのデータで、自由時間が増えた場合、家事・育児時間について、約45%の男性は「増えると思う」と回答しているのに対して、約45%の女性が「変わらない」と回答した点です。

子育て世代の男性の長時間労働の影響~出産・子育てをめぐる意識等その4~』で調べたように、男性の長時間労働の割合は減少傾向であるとはいえ、長時間労働の基準自体が高く、自由時間自体が少ない可能性が高いと思われます。

「自由時間が増えたら」=「労働時間の減少」という仮定が立てやすく、労働時間が減り、仕事疲れも減るとなると、家事・育児に時間が費やせるというイメージは立てやすいのではないでしょうか。

また、女性は半数近く「変わらない」と回答していますが、現状、やれる限りのことをやっていると感じていて、自由時間が増えたら、睡眠時間や自分・家族の時間に費やしたいと考えているのではないでしょうか。

男性の家事・育児時間は出産に影響するか?~出産・子育てをめぐる意識等その5~』では、6歳未満の子供を持つ夫婦の家事・育児関連時間(1日当たり・国際比較)のデータを見ましたが、実は、家事・育児の総時間は、国際的に見ても日本が突出して多いというわけではありません。

男性の自由時間が増え、1日あたり2時間程度の女性の家事時間を男性に移したら、他国と似たような形になります。

ただ、家事・育児時間の中の、女性の育児時間が1時間程度、他国に比べて多いです。

次回からは、この育児時間をどうしていくのかを、男性の育児休業面や子育てを助けてくれる人や制度の面から見ていきたいと思います。

結婚や子育てに関する意識の調査関連記事 (まとめ:半沢まりこ)

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