前回まで、男性の育児休業の取得について考えてきました。
男性の育児休業の取得が少ないのは、育児休業が取りやすいかどうかという職場の環境によるのが一番の原因であると考えられますが、今回は少し違う面から見てみましょう。
下図は、子育ての負担を助けてくれる人・場所についての調査結果です。
図1:子育ての負担を助けてくれる人・場所
出典:少子化社会対策白書(内閣府)(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2019/r01webhonpen/html/b1_s1-1-6.html)
調査結果を全体的に見ると、一番割合が多いのが「配偶者(パートナー)」となっており、夫婦でお互いを頼りにしあっているように感じます。
しかし、既婚・子どもなしと既婚子どもありとで比較すると、男性の回答は大きく変わってはいませんが、女性の回答には変化が見られます。
既婚・子どもなしの女性にとって、配偶者と答えた方は85.5%いましたが、既婚・子どもありになると、60.9%まで減少します。
その分、子育て仲間が13.7%、近所の人が5.0%増加しています。
上記の間のみでのパーセンテージの移動ではないでしょうが、出産前は「夫婦で子育て」とイメージしていたけれど、実際に頼れたのは子育て仲間や近所の人だったと感じている方がそれなりにいらっしゃるのではないでしょうか。
私自身の経験としても、配偶者(パートナー)の休日に子どもを預けて用事を済ませるより、平日に子育て仲間に子どもを預けて用事を済ませるという女性が多かったと感じています。
さらに、子育ての負担について周囲で助けてくれる人・場所について、「特にない」と感じている方が、既婚・子どもなしの女性では6.8%だったのが、既婚・子どもありの女性では14.4%と7.8%も増加しています。
そして、「助けてくれる人」についてはそれなりに割合があることに比べて、「助けてくれる場所」については軒並み割合が低いです。
昨今、産後鬱のニュースも目にすることが多いです。
実際に子どもを産んでみたら助けてくれる人・場所がないと感じる女性が増加していることは、気になる部分です。
身内にしても外部にしても、「人」というのはその人自身の環境によって助けられるかどうかが変わってきます。
行政や民間の子育てサービス等、「助けてくれる場所」の充実が課題ではないでしょうか。
では、次回は、政府の子育て支援についてどう感じているのか見ていきましょう。