前回までは、結婚に至るまでの出会いやきっかけ、条件などについて考えてきました。
今回からは、結婚後の働き方と家事・育児について見ていきましょう。
下図は、結婚を希望している者で結婚していない20~40歳代の男女に聞いた、結婚後の働き方についての回答です。
図1:結婚後の夫婦の働き方
出典:少子化社会対策白書(内閣府)(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2019/r01webhonpen/html/b1_s1-1-6.html)
男女ともに全年代で、60%以上が結婚後「夫婦ともに働こうと思う」と回答しています。
少し細かく見ると、30~49歳の年代では、男女ともにパーセンテージがほぼ同じなのに対して、20代では、女性が71.5%なのに対して、男性は61.1%と約10%も値が低いです。
20代だと、まだ男女ともに働き始めてそれほどの年数が経っていない場合があり、経済面で共働きが必要と感じているのではないかと考えられますが、女性が20代から年代が高くなるにつれて「夫婦ともに働こうと思う」の回答割合が低くなるのに対し、男性は20代が一番低く、30代・40代・20代の順となっています。
逆に、男性の「自分は働くが相手は働かない」の回答は、20代・40代・30代の順に高くなっており、女性の「相手は働くが自分は働かない」の回答は、女性が20代から年代が高くなるにつれて回答割合が高くなっています。
厚生労働省の令和元年(2019)人口動態統計月報年計(概数)の概況によると、令和元年の平均初婚年齢は、夫 31.2 歳、妻 29.6 歳でした。
平成 26 年から前年までは、夫 31.1 歳、妻 29.4 歳が続いており、6年ぶりに夫妻ともに上昇したとはいえ、男女ともに平均初婚年齢は30歳前後となっています。
また、下表のとおり、第1子出生時の母の平均年齢も近年は約30歳となっています。
表1:第1子出生時の母の平均年齢の年次推移
出典:令和元年(2019)人口動態統計月報年計(概数)の概況(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai19/dl/kekka.pdf)
この結果より、20代での結婚は想定したとしても、出産は予定せずに共働きを考えているのは納得感があります。
また、特に男性は20代での結婚を意識していない人もおそらく多く、例えば転勤や子どもがほしいと感じたらなどのきっかけで考えるという見方もできると思われます。その場合、相手はいったん退職することになるだろうと考えるのではないでしょうか。
ただ、男性で30%前後、女性で20%前後の方々が「わからない」と答えており、「自分たちがどうしたいか」だけでは働き方を決めにくい現状があると考えられます。
今回は、働こうと思うか思わないかといったデータから考察してみましたが、その理由についてもデータがありますので、次回はもう少し具体的に結婚後の働き方への考えについて見ていきましょう。
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