男性の育児休業取得率はどうして低い?~結婚や子育てに関する意識その11~

前回は、『家事・育児に費やす時間』について考えました。

自らの家事・育児に費やす時間の評価については、データで見ると思うところはありますが、日本の現状を考えるとしょうがないと感じる部分も多いのではないでしょうか。

そして、自由時間が増えたとしたら、家事・育児に費やす時間はどう変化するかについてもデータを見ましたが、その具体的な理由について、今回は見ていきましょう。

図1:自由時間が増えた場合の家事・育児時間の変化についての回答理由

出典:少子化社会対策白書(内閣府)(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2019/r01webhonpen/html/b1_s1-1-6.html)

主に既婚子どもありのデータから考えますが、男性は、自由時間ができたら、家事・育児時間が増えると思うという回答、女性は、変わらないと思うという回答が一位でした。

上記を見ると、男性は、その理由として「時間に余裕ができたら、家事または育児をしたいと思っているから」が26.9%を占めて一位となり、女性は極端な偏りはありませんが、「時間に余裕ができた場合、パートナーが家事または育児を負担してくれると思うから」が一位でした。

現状、家事・育児の負担が女性に偏っていて、時間があればそれを改善したいと男女共に考えているのが分かります。

しかし、「時間に余裕ができたとしても、家事または育児をするかどうかは分からない」と回答する男性、「時間に余裕ができたとしても、パートナーが家事または育児を負担してくれるかどうか分からない」と回答する女性も多いです。

この意識も男性の育児休業取得率の低さにも影響しているのではないでしょうか。

では、男性の育児休暇取得率が低い理由にも目を向けてみましょう。

図2:男性の育児休業取得率が低い理由

出典:少子化社会対策白書(内閣府)(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2019/r01webhonpen/html/b1_s1-1-6.html)

上図は、20~50歳代の男女に、なぜ日本の男性の育児休業取得率が低いと思うかを尋ねた回答です。

おそらくこれを見た誰もが「そうなんだろうな…」と思う結果ではないでしょうか。

ただ、現状、男性で育児休業を取得している人もおり、厚生労働省の『イクメンライブラリー』には、「イクメン宣言者の宣言後行動リサーチ」という男性の育児休業に関する調査結果もあるデータがあります。

その中で、育児休業を申請したところ、「出世に響くと言われた」「申請書類を破かれた」「同僚からの嫌がらせや無視」などがあったとあります。

また、今後の男性の育児休業取得推進のためには、「それをカバーする上司や同僚あるいは企業自体にインセンティブを与える仕組みづくり」や「育休を当然の選択肢とする雰囲気作り」が挙げられており、まだまだ土台が確立していないと感じられます。
出典:イクメン宣言者の宣言後行動リサーチ(厚生労働省)(https://ikumen-project.mhlw.go.jp/library/resource/)

では、例えば、業務上、男性が育児休業を取得することになんの問題がなかったとしたら、男性の育児休業の取得は増え、夫婦間の家事・育児の負担の割合はすぐに解消されるのでしょうか?

次回は、今後の育児休業取得の意向に関するデータなども見ながら、もう少し考えていきたいと思います。

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