政府の子育て支援の取り組みへの評価について、前回、調査結果とともにその理由を見てきました。
今回は、もう少し掘り下げて、質・量が十分でないと思う取組について見ていきましょう。
図1:質・量が十分でないと思う取組
出典:少子化社会対策白書(内閣府)(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2019/r01webhonpen/html/b1_s1-1-6.html)
質と感じている面・量と感じている面が不明なため、推測でしかないですが…
例えば、質・量ともに割合が一番高い「待機児童の解消」については、量は保育所の数や受け入れ人数などがあげられるのではないでしょうか。また、質については、自宅から勤務地への通勤路に預け先があるかどうかだったり、きょうだい児で保育所が別々にならないだったりすることが挙げられるのではないでしょうか。
さらに、次に割合が高い「教育費負担の軽減」については、量は教育費に対する助成の金額などがあげられると思いますし、質は対象者に対する所得制限等の条件だったり、提供方法だったりするのではないでしょうか。
少子化社会対策白書内には、下記のようなコメントがあります。
このように、質・量双方において、特に「待機児童の解消」と「教育費負担の軽減」に関する施策の充実が求められていることがわかる。前者については、「子育て安心プラン」(2017(平成29)年6月2日公表)を踏まえた取組が進められており、後者については、2019(令和元)年10月1日から幼児教育・保育の無償化が実施されることから、こうした取組による効果が期待される。
出典:少子化社会対策白書(内閣府)(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2019/r01webhonpen/html/b1_s1-1-6.html)
子育て安心プランは、「待機児童の解消を目指し、女性の就業率の上昇を踏まえた保育の受け皿整備、幼稚園やベビーシッターを含めた地域の子育て資源の活用を進める」政策で、「地域の特性に応じた支援」や「魅力向上を通じた保育士の確保」や「地域のあらゆる子育て資源の活用」などがポイントとなっています。
出典:「新子育て安心プラン」について(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15982.html)
また、教育費の無償化については、幼児教育・保育だけでなく、政策としては大学等の高等教育まで制度があります。
たしかに政府の子育て支援として、様々な制度が用意されていることはわかりますが、現状、このような調査結果が出ていることを鑑みると、支援の対象者が本当に必要としていることに対しての施策となっているのかが疑問です。
例えば、教育費の無償化についても、学費については無償化だけれど、制服や教科書・行事費用等は対象外で決まった時期の負担額が大きいと感じます。
また、進路によっては、いったん学費等を納めてから半年以上先に還付されることもあり、一時的に大きな費用が必要になる場合もあります。
どのような取組が必要か、チェック式のアンケートにできるような定型のものではなく、さらにリアルな声が反映されるようなリサーチが行われると子育て支援の内容もより充実してくるのではないでしょうか。
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