令和元年版少子化社会対策白書をもとに、35回にわたって少子化について考えてきました。
最後に地域比較について見ていきましょう。
下図は、都道府県別合計特殊出産率のデータです。
全国平均1.43と比較して、それを下回っているのは11都道府県です。
東京都中心とした一都三県がすべて入っていることは想定内で、納得感があります。
図1:都道府県別合計特殊出生率(2017年)
出典:少子化社会対策白書(内閣府)(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2019/r01webhonpen/html/b1_s1-1-7.html)
『政府の子育て支援…足りてる?~結婚や子育てに関する意識その14~』と『政府の子育て支援への取り組み、足りていないのは何か?~結婚や子育てに関する意識その15~』で政府の子育て支援に関する調査結果を見ましたが、これらも都道府県別に見てみて、上記出生率と比較してみたいと思いました。
それが比例するのであれば、政府の子育て支援への取り組みは世論とあっているのではないでしょうか。
このデータを見て思い浮かんだのが、保育所の待機児童問題です。
図2:平成30年4月1日 全国待機児童マップ(都道府県別)
出典:少子化社会対策白書(内閣府)(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2019/r01webhonpen/html/b1_s1-1-6.html)
上図の調査結果を見ると、出生率と待機児童率は東京圏を中心に関連性を感じさせるものが若干ありますが、それほどとは思いません。
図3:隠れ待機児童数を含むランキング
出典:待機児童問題「見える化」プロジェクト(朝日新聞デジタル)(http://www.asahi.com/special/taikijido/)
上図は、朝日新聞デジタルに掲載されている『待機児童問題「見える化」プロジェクト』内のデータです。
待機児童の定義により、保育所に入れなかったから育休を延長し、結果的に待機児童に加算されなくなった等の隠れ待機児童を含めるとこのようにデータが変わってきます。
これを見ると、先ほどの都道府県別待機児童数より、出生率との関連性を感じるのではないでしょうか。
これは少子化傾向の原因のほんの小さなひとつにすぎないでしょうが、このような原因を定義の変更による表面的な数値の減少にしてしまうのではなく、リアルな数字によって対策を考えてほしいものだと思います。