近年1.5を割る出生率はどのように推移してきたのか?

前回のブログでは、日本の少子化の現状をご覧いただきました。

今回は、もう少し具体的に出生数、出生率の推移を見ていきましょう。

図1:出生数及び合計特殊出生率の年次推移

出典:少子化社会対策白書(内閣府)

1947~1949(昭和22~24)年の第1次ベビーブーム期には、合計特殊出生率は4.3を超えていましたたが、1950(昭和25)年を境に急激に低下しました。

とはいえ、1971~1974(昭和46~49)年の第2次ベビーブーム期までは、ほぼ2.1台で推移しています。

第2次ベビーブーム頃までの高度成長期は、企業においても終身雇用制度や年功序列制度という働く人々にとっての安心感を感じる制度があり、また、夫が外で働き妻が家を守るという考え方が多くを占めていた時代でした。

図2:「夫は外で働き,妻は家庭を守るべきである」という考え方に関する意識の変化

出典:男女共同参画白書 平成30年版(内閣府)

第2次ベビーブームから1992年のバブル崩壊までの安定成長期と呼ばれる期間は、合計特殊出生率が低下傾向になり、2005(平成17)年には過去最低である1.26まで落ち込みました。

この期間、専業主婦世帯が徐々に減り、共働き世帯が増加していきます。

図3:専業主婦世帯と共働き世帯 1980年~2019年

出典:早わかり グラフでみる長期労働統計(独立行政法人労働政策研究・研修機構)

昭和47年には、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」が施行され、女性の就業意識やそれに伴う教育への関心も向上傾向にあったと考えられます。

下図を見ても、ちょうどその頃、女性の短期大学・大学への進学率もグッと上がっていて、バブル崩壊後は女性の大学進学率が上昇傾向です。

図4:学校種類別進学率の推移

出典:男女共同参画白書 平成30年版(内閣府)

図1のとおり、近年の出生率は、大きな変動はなく微増傾向でもありますが、先行き不透明な経済状況や失われつつある終身雇用制度・年功序列制度を考慮すると、共働き世帯は今後も増加の可能性があり、出生数・出生率が明らかに増加するということは難しいと考えられます。

「夫は外で働き,妻は家庭を守るべきである」という考え方は、時代とともに変化が見えつつありますが、まだ家事・育児の夫婦間での負担の割合に対する考え方は移行時期だと思われます。

引き続きデータを見ながら、少子化の現状とその背景、さらに考えられる対策について考えていきましょう。

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