前回は、平均理想子供数と平均予定子供数の推移データから、その数が低下傾向であり、さらに、30歳未満と30歳以上とで、平均希望子ども数に若干差異があることもわかりました。
現在の平均初婚年齢が男女ともに30歳前後となっており、理想・希望や予定の数ですが、その数値はリアルに近いのではないでしょうか。
では、そのような子ども数になる理由には、どのようなものがあるのでしょうか。
下図は、予定子供数が理想子供数を下回る初婚同士の夫婦を対象にした、『妻の年齢別にみた、理想の子供数を持たない理由』のデータです。
図1:妻の年齢別にみた、理想の子供数を持たない理由
出典:少子化社会対策白書(内閣府)(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2019/r01webhonpen/html/b1_s1-1-5.html)
カッコ内は5年前の調査データであり、それと比較すると、数値が大きく変化した理由としては、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」、「高年齢で産むのはいやだから」、「欲しいけれどもできないから」が挙げられます。
その内訳を見ると、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」は、35歳未満の割合が多く、「高年齢で産むのはいやだから」、「欲しいけれどもできないから」の二つは、35歳以上の割合が多いです。
40歳以上では、「高年齢で産むのはいやだから」のほうが「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」より若干数値が上回っていますが、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」という理由の割合が全体の中で突出して高く、子育てに対するお金への意識の高さがうかがえます。
令和2年5月29日閣議決定で、総合的かつ長期的な少子化に対処するための指針として「少子化社会対策大綱」が策定されました。
その施策の具体的な内容のひとつとして、「男性の家事・育児参画の促進 」が挙げられ、育児休業の取得推進の項目があり、ニュースでも取り上げられていましたが、それを見た世間のSNS等のコメントとしては、「夫の育児休業よりも、子育てや教育にかかるお金の方が気になる」というものを多く見かけました。
少子化対策というと、このように育児休業の取得や保育所の待機率の改善など、親の環境に関する制度がクローズアップされがちですが、私も含め、現実に子育てをしている世帯は、義務教育前後にかかる教育費への対策がもっとなされることを期待しているのではないでしょうか。
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