前回のブログで、日本と諸外国の出生率を見比べ、出生率が低下傾向から持ち直したスウェーデンに着目してみました。
スウェーデンでは、仕事と育児の両立支援に力を入れたことが出生率にも影響していると考えられます。
今回は、そのスウェーデンの両立支援についてもう少し詳しく見ていきましょう。
出生率の低下の理由としては、「少子化が続いた先の日本の未来はどうなる?~少子化の現状~」でも書いたとおり、「子育てや教育にお金がかかりすぎる」ということが挙げられます。
それに加え、「夫が外で働き妻が家を守る」という考え方への意識の変化や女性の進学率の変化などもあり、共働き上昇傾向ということもあります。
スウェーデンでも、女性の社会進出や父親の子育てへの積極的な関わりの必要性、親の労働時間問題などの議論を経て、現在に至ります。
具体的には、父親向けの育児休暇である「父親の月」の導入や、義務教育から高等教育までの学校教育が無償化、労働時間の短縮などの対策がされてきました。
そうして、下記の表のように女性もライフステージを通じて仕事を継続させています。
表1:子どものいる男女の就業率-末子年齢別、2016年
末子年齢 | 女性 | 男性 |
---|---|---|
0歳 | 73.3% | 91.1% |
1-2歳 | 78.8% | 92.7% |
3-6歳 | 83.6% | 91.2% |
7-10歳 | 89.2% | 93.4% |
11-16歳 | 88.5% | 92.4% |
出典:スウェーデンにおける仕事と育児の両立支援施策の現状(独立行政法人労働政策研究・研修機構)(https://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2018/12/sweden.html)
さらに、スウェーデン統計局の2016年労働力調査によると、雇用者全体の週平均残業時間は、男性1.3時間、女性0.8時間とのことです。
高等教育(大学)まで無償であり、労働時間も配慮されていて、育児休暇も充実していて父親の取得にも力をいれているとなると、仕事と育児の両立に前向きになれるのではないでしょうか。
日本でも学校教育無償化へと進み始めていますが、所得に応じた制限があったり、無償化の対象となる学費以外の出費が大きかったりなど、諸手を挙げて喜べる状況には至っていないと考えられます。
ただ、このように制度を充実させるとなると国の負担は大きなものでしょう。
次回は、社会保障費用の面にも少し触れてみようと思います。
日本は子供を生みやすい国だろうか?-
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コメント
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