結婚に対する年収と雇用形態の影響~結婚をめぐる意識等その3~

前回のブログで、「独身でいる理由」の増加傾向にある理由のひとつ「結婚資金が足りない」についてフォーカスを当てて考えました。

男性の年収別有配偶率や雇用形態別有配偶率から、結婚において、直接的な収入面からだけでなく、正規の職員・従業員であるという「安定」という心理面からの結婚資金への意識も感じられました。

今回は、結婚に対しての直接的なデータではないですが、上記の面をもう少し掘り下げて、雇用形態・就労形態について少し見ていきましょう。

図1:20歳代・30歳代の所得分布

出典:少子化社会対策白書(内閣府)(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2019/r01webhonpen/html/b1_s1-1-4.html)

上図は、20歳代・30歳代の所得分布図です。

20歳代でも1997年と2017年のグラフの違いは若干ありますが、大きく言及するほどではないのではないでしょうか。

また、前回のブログでも書いたとおり、厚生労働省の令和元年人口動態統計月報年計(概数)によると、平均初婚年齢は、夫31.2歳、妻29.6歳となっています。

なので、30歳代のデータに注目してみましょう。

30歳代のデータは、20歳代より変化が大きいです。

年収400~999万円の階級で1997年が上回っており、その層が2017年では100~399万円の階級に移っていると考えられます。

図2:若年者の非正規雇用割合

出典:少子化社会対策白書(内閣府)(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2019/r01webhonpen/html/b1_s1-1-4.html)

ただ、上図のように、若年者の非正規雇用割合のデータを見ると、たしかに非正規雇用の割合は1997年に比べて上昇していますが、25~34歳男性のデータを見ると、ずっと上昇傾向なわけではなく、2005年あたりからは横ばいとなっています。

また、下図のように若年者の失業率は、山形になってはいるものの、1997年と近年では大きく変わらず、雇用形態の大きな変化は見られないけれども、所得は変化してきていると考えられるのではないでしょうか。

図3:若年者の完全失業率

出典:少子化社会対策白書(内閣府)(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2019/r01webhonpen/html/b1_s1-1-4.html)

ただ、下図のように、平均年間総実労働時間数を見ると、かなり下降傾向がうかがえます。

図4:常用労働者1人平均年間総実労働時間数 1951年~2019年 年平均

出典:早わかり グラフでみる長期労働統計(独立行政法人労働政策研究・研修機構)(https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0501_02.html)

所得の面から見ると、低所得層にシフトしていて結婚資金面としては不安を感じるかもしれませんが、労働時間の面から見ると、年間の総労働時間が少なくなっているということは、家庭に使える時間が増えているとも考えられるのではないでしょうか。

結婚資金も家族で過ごす時間もどちらも大切なポイントだと思います。所得の面からだけではなく、あらゆる視点で考えて、人それぞれの価値観を大切に考えたいですね。

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