『結婚と出産に関する全国調査(出生動向基本調査)』の中で、前回は独身者の結婚の意思についての調査結果を見てみました。(前回の記事はこちら『独身者は結婚したいと思ってる?それとも独身のままがいい?』)
ざっくりと調査結果を見ると、結婚の意思がある独身者の割合は高いということでしたが、年齢別によく見ると、男女ともに平均初婚年齢前後で「一生結婚するつもりはない」という割合もグッと増えます。
とはいえ、割合が変わっても常に「一生結婚するつもりはない」を上回っている「いずれ結婚するつもり」に今回は注目してみましょう。
図1 調査別にみた、 結婚意思をもつ未婚者の結婚に対する考え方
出典:第15回出生動向基本調査(国立社会保障・人口問題研究所)(http://www.ipss.go.jp/site-ad/index_Japanese/shussho-index.html)
上図は、「いずれ結婚するつもり」と回答した18〜34歳の未婚者を対象にした結婚に対する考え方の調査の結果です。
自分の一生を通じて考えた場合、「ある程度の年齢までには結婚するつもり」か「理想的な相手が見つかるまでは結婚しなくてもかまわない」かを質問しています。
2000年頃までは、「理想的な相手が見つかるまでは結婚しない」が増加傾向でしたが、それ以降、「ある程度の年齢までには結婚するつもり」が増加傾向です。
男女ともにその傾向が見られますが、男性は、「理想的な相手が見つかるまでは結婚しなくてもかまわない」という回答が一番高かった2002年でも50.5%にとどまり、1990年以降、どの時代でも「ある程度の年齢までには結婚するつもり」と考えている方が一定数いて、振れ幅が小さく感じます。
女性は、「理想的な相手が見つかるまでは結婚しない」という回答が、1997年の調査では56.1%ありましたが、2015年には39.2%となり、大幅に減少しており、振れ幅が大きく感じます。
もう少しデータを細かく見てみましょう。
1997年の調査では、女性は35歳未満のどの年代も、さらに35~49歳のどの年代でも「理想的な相手が見つかるまでは結婚しなくてもかまわない」という回答が上回っています。
男性は、19歳以下と30際以上は「理想的な相手が見つかるまでは結婚しなくてもかまわない」という回答が上回っていますが、20〜29歳までは「ある程度の年齢までには結婚するつもり」が上回っています。
今度は、2015年の調査に着目すると、男女ともに、18〜29歳まで「ある程度の年齢までには結婚するつもり」が上回っていて、30歳以上になると「理想的な相手が見つかるまでは結婚しなくてもかまわない」という回答が上回っています。
どの時代もとおして、男性は平均初婚年齢くらいまでは、「ある程度の年齢までには結婚するつもり」と考えている方がいると見受けられるでしょう。
女性は、バブル期や氷河期の就職のしやすさや、働き方や出産・育児に関する法律の改正などによる働き方の変化などにより、都度、意識が反映されているのではないでしょうか。
昨今は、経済的な事情などにより、結婚や出産をためらう声もよく聞かれますが、「ある程度の年齢までには結婚するつもり」が増加傾向というのは、近年における災害の多発なども影響しているかもしれません。
筆者の周りでも、災害を通して『安否を気に掛け合う家族がいる』というのが安心感につながったという声を複数聞きました。
また、不妊治療の公的保険適用のニュースなども、結婚・出産に前向きになれるものであり、「ある程度の年齢までに結婚を」と意識する要因のひとつとなっているのではないでしょうか。
結婚となると、長い人生を共に過ごすことになるため、相性の良さなど、理想を追求する姿勢は大切だと思います。
しかし、環境の変化などにより、その理想が変わることもあり得るため、理想の全てを追求し続けることが良いとも言えないこともあるでしょう。
どちらもバランス良く考えていけるといいですね。