先月、育児・介護休業法が改正され、『男性の育児休業取得率は法改正でどのように変わるか?』という記事を投稿いたしました。
男性の育児休業の取得率が上がったとしても、育児休暇取得前後の上司・同僚との関係性や取得後のキャリアの阻害などの問題が解消されない限り、家庭のことを考えた育児休業の取得ではなく、義務からの取得となり、形骸化しかねないのではないか…と、まとめさせていただきました。
これは、男性と勤める企業に焦点を当てたものですが、では、企業側が快く男性の育児休業取得を認めるとしたら、夫婦共に男性の育児休業取得を望むのでしょうか…?
日刊工業新聞のアンケート調査によると
育休を取得したことがない男性に対し、「今後、機会があったら育休を取得したいと思いますか」と聞くと、34.2%が「取得したい」25.7%が「どちらかといえば取得したい」と答えた。
夫・パートナーが育休を取得したことがない女性に対して、「今後、機会があったら夫・パートナーに育休を取得してもらいたいと思いますか」との問いでは、31.6%が「取得してもらいたい」、25.2%が「どちらかといえば取得してもらいたい」と回答し、男性よりもやや低めの結果となった。
との調査結果がありました。また、その理由については、
「育休を取得したくない」「どちらかといえば取得したくない」と回答した人の理由として最も多かったのは、男性「年収が下がりそう」40.9%、女性「自分の負担軽減にならない」28.9%と差異がみられた。
という回答がトップです。
(どちらも 日刊工業新聞2021年4月22日「男性育休義務化」迫るも、取得しない理由1位は「〇〇〇」https://newswitch.jp/p/26937 より)
さまざまなご家庭がありますが、『男性の家事・育児時間は出産に影響するか?~出産・子育てをめぐる意識等その5~』で書いたように、6歳未満の子供を持つ夫婦の1日あたりの家事・育児関連時間は、妻が7時間34分なのに対して、夫が1時間23分となっています。
これは、すでにお子さんがいらっしゃるご家庭ですが、子どもが産まれて大幅に偏りがでたとは考えにくいので、結婚後、家事・育児時間が妻に偏っているご家庭が多いと考えられるでしょう。
そのような状況で、夫が「育児休業を取得しようと思う」と言った場合、妻はどう感じるのでしょうか。
「夫がはたして家事・育児の戦力になるのだろうか?」と感じ、結果的に上記のアンケート調査結果のように「自分の負担軽減にならない」となるのではないでしょうか。もしかしたら、負担軽減にならないどころか、夫分の食事作り等も必要になって、負担が増加すると考える妻もいるかもしれません。
法改正により、よりよい育児環境が整えられていくのは望ましいことですが、それとともに当事者の意識の改革も必要なタイミングではないでしょうか。
あるハウスメーカーでは、育児休業取得を推進するだけでなく、取得前に休業中の家事・育児について、夫婦間で話し合い、計画を立てるためのシートを用意し、活用されているとのことです。
例えば、分担表の1項目として、ゴミ出しがありますが、ただ『ゴミ出し』と書いてあるだけでなく、『回収、分別、出す』と補足されています。
『見えない家事』という言葉が一時期ネットニュースなどで見受けられましたが、それらにも対応している分担表となっていて、これなら妻の負担軽減となるでしょう。
法改正にともない、男性の育児休業取得を推進するだけでなく、このような取り組みが増えていくといいですね。