今月、育児・介護休業法が改正され、男性の育児休業が取得しやすくなるかどうかが話題になり、具体的に、どのように法律が変わったのかを確認しました。
主なポイントは下記でしょう。
- 男性も子ども出生後8週間以内に4週間まで取得することができ、2回まで分割取得できる。
- 上記以外で、分割して2回まで取得できる。
- 男女問わず、妊娠・出産の申出をした労働者に制度を周知し、休業取得の意向を確認することを企業に義務付ける。
具体的な取得方法としては、厚生労働省にこのような例が挙がっています。
図1:パパ・ママ育休プラス、パパ休暇について分かりやすくまとめたリーフレット
出典:厚生労働省 イクメンプロジェクトページ(https://ikumen-project.mhlw.go.jp/company/system/)
(クリックするとPDFファイルが開きます)
このように、制度が充実していくことは喜ばしいことですが、世間の受け取り方はどうでしょうか。
6月7日付NIKKEI STYLEの記事によると、
男性の育児休業取得を促すための改革を盛り込んだ改正育児・介護休業法が3日、成立した。日本経済新聞社が男女千人に行った調査では、法改正で男性が育休を取得しやすくなると思うか、という問いに半数超が「思わない」と回答。「育休の取得に否定的な上司・同僚の意識改革」や「取得がキャリアに不利にならないという安心感」を求める声があがった。
出典:NIKKEI STYLE『男性の育休取得 法改正も「取りやすくならない」5割』(https://style.nikkei.com/article/DGXKZO72581280U1A600C2TY5000)
とあります。
制度を充実させ、対象企業には育児休業の取得の状況について公表を義務付けるため、男性の育児休業の取得率というのは上がるかもしれません。
しかしながら、育児休暇取得前後の上司・同僚との関係性や取得後のキャリアの阻害などの問題が解消されない限り、家庭のことを考えた育児休業の取得ではなく、義務からの取得となり、形骸化しかねません。
日本においては、休暇を取得することに罪悪感や後ろめたさを感じるという意見が上記のようにまだまだあります。
これは、育児に限らず、プライベートのために取得する有給休暇制度でもそうでしょう。
子どもの有無や独身・既婚も関係なく、業務の属人化の解消や意識の持ち方の変革など、休暇を取りやすい組織風土を育て、男性の育児休業取得率という点だけではない働き方改革を推進したいものです。
いまはコロナ禍につき、テレワークの導入や時差通勤時間などフレキシブルな出勤体制も検討される世の中になっています。
このような機会に誰もが働きやすい世の中を考え、そうなっていくことは、共働きが主流な現状において、出産を考えるモチベーションにもなるのではないでしょうか。