厚生労働省の研究機関である国立社会保障・人口問題研究所が「統計法」に基づいて実施している調査のひとつに『結婚と出産に関する全国調査(出生動向基本調査)』があります。
概ね5年に一度、調査が実施されており、ちょうど本年が調査の年となっていて結果が興味深いですが、調査結果が公開されるまでに1~2年かかりますので、前回の第15回出生動向基本調査がどうだったかをゆっくり見ていこうと思います。
調査は、独身者調査と夫婦調査に分かれていますが、まずは独身者調査の結果から見ていきましょう。
まずは、独身者の結婚の意思についての調査結果です。
表1 調査別にみた、未婚者の生涯の結婚意思
出典:第15回出生動向基本調査(国立社会保障・人口問題研究所)(http://www.ipss.go.jp/site-ad/index_Japanese/shussho-index.html)
報告書では、”いずれは結婚しようと考える未婚者の割合は、いぜんとして高い水準にあり”とありました。
たしかに、男性85.7%と女性89.3%という数字だけを見ると高い水準にありますが、対象が18~34歳であり、18歳がそう思っているかどうかと34歳がそう思っているかどうかというのをひとくくりにしてしまうのは、年齢の幅が広すぎるように感じます。
そこで、調査結果の集計データをダウンロードして、もう少し細かい年齢幅でのデータと35歳以上のデータも見てみました。
表2 調査別・年齢別にみた、未婚者の生涯の結婚意思(男性)
出典:第15回出生動向基本調査 統計表:クロス集計主要結果表(国立社会保障・人口問題研究所)(http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/db_15/db_15reportCROSS.html)をもとに筆者作成
表3 調査別・年齢別にみた、未婚者の生涯の結婚意思(女性)
出典:第15回出生動向基本調査 統計表:クロス集計主要結果表(国立社会保障・人口問題研究所)(http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/db_15/db_15reportCROSS.html)をもとに筆者作成
男女どちらも年代とともに『いずれ結婚するつもり』の割合は減少し、『一生結婚するつもりはない』の割合は増加しています。
なお、厚生労働省が発表している『令和元年(2019)人口動態統計(確定数)の概況』によると、平均初婚年齢は夫が31.0 歳で、妻は29.4 歳とのことです。
上記の表と見比べると、平均初婚年齢にはまだ遠い20代前半では『いずれ結婚するつもり』となんとなく考えていても、リアルが見えてくる平均初婚年齢前後になってくると、数字の変化が大きくなり、『一生結婚するつもりはない』という考えも数字としては小さいですが、割合としては大きくアップしていると感じられます。
独身者の方々が、結婚に対して持っているイメージや、なぜ一生結婚するつもりはないと思ったのかなど、これから各種データを見ながら考えていきたいと思います。
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[…] 出生動向基本調査)』の中で、前回は独身者の結婚の意思についての調査結果を見てみました。(前回の記事はこちら『独身者は結婚したいと思ってる?それとも独身のままがいい?』) […]